こんにちは、ヤマトキです。
本日は重要事項説明書の中身の構成と
チェックすべきポイントについて解説しようと思います。
重要事項説明書は大きく4つから構成され、
それぞれについて欠かせないチェックポイントがあります。
1.売買の目的物の表示
この項目では土地・建物の面積、権利の種類、登記の有無が表示されます。
物件概要書で出てきた情報との差異がないかをチェックします。
・権利の種類(所有権以外のもの、例えば借地権、法定地上権など)
・登記の有無(未登記物件ではないか)
・土地の面積(土地の境界トラブル等がおきてないか、面積があっているかなど)
・占有面積[区分](登記簿の面積が壁芯面積より少なくないか)
壁の中心で囲んだ部屋の面積のこと。物件概要書などにはこちらが書いてあります。
内法面積
壁の内側で囲んだ部屋の面積のこと。登記簿ではこちらが書いてあります。
しっかりチェックしましょう。
2.売主の表示と占有に関する事項
売主の本人確認とともに、占有者(居住者)がいる場合は、その占有の法的関係について確認します。
賃貸借契約であれば、契約条件を確認し問題なくオーナーチェンジができるかを確認します。
・賃貸借契約書の確認(物件の売買で退去されるような契約になっていないか)
3.登記簿記載事項
物件の登記簿原本と照合しながら不審な点がないか確認します。
登記簿では建物・土地をそれぞれ「甲区」「乙区」の2つ、
加えて表題部の3つによって構成されます。
物件の概要に関する記載。
甲区
所有権に関する記載。現在の所有者情報と、どのように変還したのか
乙区
所有権以外に関する記載。主には抵当権、融資額に関すること
登記簿を取り寄せるには「公図」で「地番」を特定する必要があります。
不動産業者で調べてもらえますので確認してみましょう。
・所有権に関して(売買契約の当事者の名義かどうか)
・抵当権に関して(闇金などの抵当権や、個人名での抵当権、抵当権以外の権利が記載されていないか)
もし抵当権以外の権利が記載されている場合、
トラブルに巻き込まれる可能性があるため、専門家に相談してみた方がよいでしょう。
4.都市計画や土地区画調整事業に関する事項
都市計画や土地区画調整事業にかかっているような地域は
将来的に立ち退きの可能性があるのでなるべく避けます。
・区域区分に関して(市街化調整区域や未線引区域になっていないか)
このような記載は基本的に建物の再建築が不可となるので避けておきましょう。
5.建築基準法に基づく制限
用途地域については
建築条件が緩和されている区域の方が投資家にとっては有利です。
この順で有利になります。
・建ぺい率・容積率に関して(それぞれオーバーして違法建築になっていないか)
6.敷地と道路との関係
土地の幅が広い道路に幅広く接していればいるほど価値はあがります。
・公道ではなく私道である(私道が位置指定道路、いわゆる42条2項道路になっているか)
・私道の通行料(私道に通行料などが設定されていないか)
42条2項道路は公道に準じたものと見られ、価値は下がりますが再建築は可能となります。
私道でこのような指定を受けていない場合や、4mに満たない幅、接道が2mに満たない場合は要注意です。
4mの道路幅に満たない場合は再建築時に
”セットバック”
という、自身の土地の道路幅に還元し、狭くなります。
少し土地を後ろに下げることになり土地価格が低くなります。
7.飲用水、ガス、電気などのライフラインに関する事項
新築物件などでは新たにライフラインを引く必要があり、その費用がかかるのか確認します。
中古物件では、エリアや物件によって費用が大きく異なるので物件概要書で明らかでなかった費用が出る場合、
価格交渉の材料としましょう。
・ガスについて(都市ガスかプロパンガスか。プロパンガスの方が業者が負担してくれたり投資家のメリットがあるが、入居がされづらいデメリットもある)
・水道に関して(自治体の水道加入金がいくらか)
・排水に関して(個別浄化槽や集中浄化槽ではないか。これらは大家がメンテナンス費用を負担)
8.専有部分の管理・使用に関する事項[区分]
専有部分の使用に関する、管理規約の定めが書かれています。
・用途制限について(店舗、事務所への転用可否など)
・ペットの飼育、楽器使用
・フローリング使用(禁止されていないか)
9.専有部分の使用料に関して[区分]
バルコニー、庭、駐車場、駐輪場など利用料がかかる場合は
収支が悪くなるため、価格交渉材料にすべきでしょう。
10.管理会社
現在の管理会社が書かれています。
一棟物件では売買に際して、管理会社を引き継ぐケースもよくありますが、
どのような管理条件を結んでいるか管理委託契約書をチェックしましょう。
区分の場合は管理組合側で選任した管理会社が入っているのが通常です。
管理費と管理状態のバランスが適正か確認します。
・管理委託か自主管理か(自主管理はコスト面で有利だが、管理状態が悪くなりがちです)
11.管理費、修繕積立金[区分]
物件の管理費、修繕積立金が書かれています。
滞納金額のあるなしが記載されています。滞納金額の有無は管理組合に直接連絡して調査してもらうのが正確です。
・物件の管理費、修繕積立金と積立状況(管理状態と管理費のバランス、年数に応じた積立金の適正具合)
12.物件の修繕履歴
一棟物件では前オーナーの修繕履歴、区分では管理組合の修繕履歴を確認します。
どのような修繕が近々しなければいけないのかを確認しましょう。
屋上防水や外壁の修繕は費用が多くかかることになるためこの辺りが実施されているかも見てみましょう。
13.契約解除、違約金に関する事項
売買契約の解除の期限や違約金に関する取り決めが書かれています。
・ローン特約(ローン特約がついているか)
・ローン利用の条件(融資利用金融機関や金額、金利、期間などの条件は決められているか)
想定の融資がひけないのに購入しないといけなかったり
断る場合に違約金がかかってしまうため、明確にしておきましょう。
14.瑕疵担保期間
瑕疵担保期間は長ければ長いほど買主は有利となります。
売主が不動産業者の場合は2年ついていますが、
売主が個人の場合、通常ついていないですが、ここを交渉して1年つけてもらえるように交渉しましょう。
・瑕疵担保について(瑕疵担保の有無、期間)
15.備考
その他のイレギュラーな特記事項は、備考欄に記載されます。
ここに売主にとって不利なことがさらっと書かれていたりするので見逃さないようにしましょう。
以上です。
売買契約書に対しても多くの情報が書かれているため、
全体を通して見逃さず不利な点はすかさず交渉を行いましょう。
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